端なえホームページ開設記念↓その弐
帰ってきたシリーズ待つ人々第一回
信号待ち
「ったく、何度同じ事言わせんだよ!」
事の発端はどうでも良い様な事だった。
それは、たとえば、夕食の食べる順番だったり、
風呂or食事の順番、食事中のマナー・・・。
本当にどうでもいいこと。
それなのに・・・。
また、同棲している彼女と喧嘩してしまった。
幾度目かの衝突で、一緒にいる人間と嫌に
なってしまうのだろうか。
昨夜は・・・。
人間と言うのは天気のように変わりやすいって
誰かが言ってたけど本当にそうだ。
気が付いたら、俺はアパートのドアを
バタンッと激しく閉めて
出てきてしまった。
最早、何も考えていなかった。
直感的な行動だった。
アパートの前の路地を歩いてしばらく歩くと、
ちょっと大きい道路に出る。
そして、信号がある。
そういえば、昨日
同じ道を、
同じ横断歩道を
歩いていた。
赤の信号がアスファルトを照らしている。
もうすぐ、信号が変わる。
この信号を渡って更に歩くと
駅に出る。
俺は今、何処に行こうと
しているんだろうか?
何故、駅の事を考えたのか?
まさか、この町を・・・。
まぁ、気休めにはいいか。
自動車用の信号が黄色から青に
変わろうとしている。
その時だった。
「ごめん。また、やり直さない?」
背後から聞いた事がある声が聞こえる。
「あっ」
信号は青に変わってしまった。
俺達はまた、歩いてきた道を引き返した。
そして、信号は青から赤へ。
扉へ
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